地方公務員だけど、海外勤務したいと考えている人
✅僕は地方公務員なんだけど、いつか海外赴任してみたいんだ!
✅どんな海外勤務の形態があるのか知りたい!
✅自分は外国語が得意ではないんだけど、海外勤務できないかな。
✅海外勤務すると、かなり給料もらえるって聞いたけど、どれくらいもらえるの?
今日はこういった疑問に答えていくよ
✅読者の皆さんへの前置きメッセージ
本記事は「地方公務員で海外勤務してみたいけど、どんな海外勤務の形態があるか分からない!語学もできないけど、何とか海外で勤務したいよ」と考えている地方公務員の方向けの内容です。
この記事では地方公務員の海外勤務に関する情報を1つの記事にしましたので、「海外勤務したい人」、「海外勤務に興味はあるけど、無理かな」って考えている地方公務員の方には大変参考になると思います。
多くの地方公務員の方が定年までに海外勤務をする機会は1回、多くて2回くらいでしょう。そのため、あまり情報がインターネット上でまとまっていないのですが、一生に一回の海外勤務だからこそ、しっかりとした情報を集めて、有意義な海外生活を過ごしたいですよね。
この記事が一人でも多くの地方公務員の方に届き、1人でも海外勤務を目指していただけると嬉しく思います!
なお、この記事での地方公務員というのは、県庁や市役所などの地方自治体に勤務する地方公務員を指します。教員や警察官などの地方公務員は除きます(警察官の海外勤務については、こちらをご覧ください!)。
地方公務員の海外勤務形態3つについて解説!
外務省への出向(外交実務研修員)
まずは外務省に出向するパターンです。
この制度は「外交実務研修員」と言われていて、外務本省で2年,その後,在外公館で2年勤務する人事交流制度のことを指します(参照:外務省HP「外交実務研修員による体験記」)。
外務本省での配属先は多種多様で、全く中東に関わったことがないのに、中東第2課に配属された人もいます(詳細はこちら)。2年間の外務本省勤務に耐えた(?)後に、在外公館に2年間勤務します。
私の知り合いの地方自治体の方は、在南アフリカ日本国大使館に勤めていました。その他に上海やベトナムなどの日本国大使館に派遣されています(参照:鹿児島県庁HP)。
なお、派遣国の変更は基本的にはできません。アフリカに行けと言われたら、それに従う必要があります。
全く経験のない業務をすることもあるんだね。どんな地方自治体から外務省に出向に来ているの?
以下の表を見てみて。結構色々な地方自治体から出向者が来ていることが分かるよ。
外務省との出向制度がある地方自治体名(あいうえお順)
「都道府県」
愛知県
茨城県
沖縄県
鹿児島県
神奈川県
岐阜県
佐賀県
滋賀県
東京都
栃木県
鳥取県
徳島県
長崎県
北海道
兵庫県
福岡県
福島県
宮崎県
和歌山県
「市区町村」
堺市
札幌市
奈良市
舞鶴市
横浜市
※外務省HP「外交実務研修員による体験記」の情報を筆者がまとめたもの
本当に色々な地方自治体の人が外務省で働いているんだね!
彼らがどんな仕事をしているかは後で説明するよ。
海外事務所への異動
次に各地方自治体が所有する海外事務所に異動するパターンがあります。例えば横浜市では、ニューヨーク、フランクフルト、バンコク、上海に海外事務所があります(2023 City of Yokohama Global Offices HPより)。
へぇ、地方自治体にも海外事務所があるんだね。具体的にどんな仕事しているんだろう。
例えば、横浜市のフランクフルト(欧州)事務所の業務内容を見てみよう。
横浜市フランクフルト(欧州)事務所の業務内容
✅横浜市内の企業の欧州地域での事業活動の促進支援
✅欧州地域における行政、経済等に関する情報収集及び提供
✅欧州地域の企業等の横浜市への誘致
✅欧州地域の都市との交流事業に係る連絡及び調整
✅横浜市の使節団等の受入れ、連絡及び調整
横浜市欧州事務所HPより抜粋
どちらかというと、横浜市の場合はビジネスに主眼を置いている感じですね。横浜市のように海外事務所を持つ地方自治体も結構ありますので、地方公務員でも海外勤務のチャンスはありますね。
自治体国際化協会(クレア)への派遣
次に自治体国際化協会(クレア)への派遣について説明します。
自治体国際化協会(クレア)?聞いたことないけど、どんな組織なの?
まずはクレアの概要を見ていこう。
クレア(CLAIR)とは、「自治体の国際化推進を支援すること等を目的とする自治体の共同組織(一般財団法人)」で、自治体国際化協会の英語名「Council of Local Authorities for International Relations」の頭文字をとって「クレア(CLAIR)」って呼ばれています(総務省資料「一般財団法人 自治体国際化協会説明資料平成28年6月」参考)。
クレアの主な業務内容は以下のとおりです。
クレアの主な業務内容
Ⅰ 自治体の海外における経済活動を支援
Ⅱ 多文化共生のまちづくりを支援
Ⅲ 草の根交流と次世代グローバル人材を育成するJETプログラムを推進
Ⅳ 多様な国際交流・国際協力を支援
Ⅴ 自治体のニーズに応える情報の収集・発信を強化
Ⅵ 自治体のグローバル人材を育成
Ⅶ 海外事務所を自治体の頼れる海外拠点に
総務省資料「一般財団法人 自治体国際化協会説明資料平成28年6月」より抜粋
また、クレアには海外事務所がニューヨーク、パリ、ロンドン、シンガポール、ソウル、シドニー、北京に設けられています(クレアHP海外事務所ページ参照)。
なるほど!このクレアの海外事務所には、どれくらいの人が地方自治体から出向できているの?
クレア職員へのインタビュー記事によると、クレアのスタッフの数は、本部約70名、海外約90名で、職員の多くは地方自治体から出向しております(この他に現地スタッフなどもいます)。出向期間は2年か3年なので、十分に海外勤務を満喫することができますね。
実際、どこの地方自治体から出向者がいるかの一部を紹介するよ
クレアへの出向者の出向元地方自治体名の一例(順不同)
広島市
徳島県
市川市
東京都
長野県
高知県
宮崎市
藤枝市
鹿児島県
クレアHP令和6年度職員募集案内(自治体派遣職員)より抜粋
いろんな地方自治体から出向者がクレアに来ているんだね。
その他、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)などに出向するケースもあるよ。
海外勤務時の仕事内容(外交実務研修員の場合)
それでは実際、地方公務員の方々が海外でどんな仕事をしているのか見ていきましょう。ここでは私も勤務したことがある各大使館アタッシェの仕事内容について説明していきます。
大使館内でどの班(係)に属するのか。
まず、大使館内でどの班(係)に属するのかについて簡単に見ていきましょう。どこの班に属するか分かれば、その班の名前からある程度、仕事の内容が推測できます。なお、以下の例はあくまで一例であり、班の名前が微妙に異なることや例外もあることを付け加えておきます。
僕の印象では地方自治体からの出向者の方は、大体、政務班か経済班に所属している感じでしたね。
なお、地方自治体からの出向者だからといって、地方自治体関連の仕事ばかりではなく、ある意味容赦なく様々な仕事をこなさなければならないので、その点は要注意です!
具体的な仕事は情報収集、本省への報告、人脈形成
地方自治体からの出向者の人の主な仕事は、「情報収集」、「得た情報をまとめて本省に報告する」です。
例えば、政務班だったらその国の内政や大統領などの要人の動向について、新聞や現地の有識者などから得た情報をまとめて、本省に報告します(詳しい政務の仕事内容はこちらをご覧ください)。
また、現地のカウンターパート(例えば現地外務省の日本担当など)と関係を深めて、人脈を築くのも大事な仕事です。
あと、あまり知られていませんが、総理大臣や外務大臣などが赴任国に出張で来た際は、その大臣らのお世話(会談の調整、宿泊先のアレンジ、移動手段の確保など)をすることも、結構あります。
これはこれで結構気を遣って、大変です。
地方公務員で海外勤務できる人の詳細(外交実務研修員)
地方自治体から外務省への出向者の人数
具体的な数字は公表されていないんだけど、大体毎年10名程度の地方自治体の人が外務省で働いているよ。以下に根拠を示しておくよ。
まず、外務省HP「外交実務研修員による体験記」を見ると、各地方自治体からの出向者の体験記が掲載されています。恐らくほぼ全員の出向者の体験記が掲載されています。年度によって多少ばらつきがありますが、ここから大体毎年10名程度が外務省で外交実務研修員として勤務していることが推測できます。
また、外務省では毎週1回語学の研修が行われます。その研修の入札情報を見ると、受講人数は24名となっています。これは本省勤務をしている地方自治体からの合計の出向者数になります。本省での勤務は2年間であることを踏まえると、各年の人数は大体10名程度になります。
地方自治体から外務省への出向者の年齢は?
地方自治体から外務省への出向者の年齢に関する公的な資料は見つかりませんでしたが、私が外務省時代に接していた地方自治体からの出向者の方は、大体20代後半か30代の方でした。
実際、外交実務研修員の体験談が掲載されている外務省HPを見ると、地方自治体入職後5年目で外務省に出向した人(詳細はこちら)がいます。
地方自治体としては若手から中堅職員の研修の一環として、この外務省への出向制度が利用されていることが分かりますね。
地方自治体から外務省への出向者はみんな語学できるの?
外務省への出向ってとっても魅力的な制度だけど、英語できないと難しいよね?
私の知り合いの地方自治体からの出向者は英語できたけど、英語ができなくても仕事は何とかできるよ
国内にいる間も時々英語やその他の言語を使うことがありますが、ここでは主に海外勤務時に英語を使うかどうかについて説明したいと思います。
海外で勤務するため、もちろんその国の言葉と英語はできた方がいいですよね。でも、たとえ現地の言葉が分からなくても、何とか皆さん仕事をされています。その理由分かりますか?
実は、大使館には日本語も現地の言葉もできる「現地職員」という方が多く働いています。もちろん中には現地語のみ話す方もいますが、日本に留学していた方、結婚した相手が日本人の方、現地在住の日本人などの方々もいます。
このような方とうまくコミュニケーションを取りながら仕事を進めていくこともできます。なので、「語学が苦手!」という方も諦めずに、海外勤務のチャンスを狙っていきましょう。
語学が苦手!という方には、海外赴任の悩みも相談できてしまうオンライン英会話をオススメするよ。参考までにリンクを貼っておきます。
フランス語圏に行くことになったら、以下の記事が参考になるよ。
地方公務員が海外勤務する際の給料(大使館アタッシェの場合)
やっぱり海外勤務の給料が一番気になるね。地方公務員の人が海外で勤務することになったら、どれくらい給料がもらえるのかな?
気になるよね。基本的に外務省職員が海外勤務するときと同じ給料と手当が支給されるよ。
地方公務員の給料に加えて、在外手当(海外勤務手当)がもらえる(大使館アタッシェの場合)
地方公務員の方々も、外務省職員と同様に在外公館での海外勤務時には、地方公務員の給料(本邦)に加えて、在外手当(海外勤務手当)がもらえます!
通常の給料に加えて、在外手当(海外勤務手当)がもらえる理由については、こちらで解説していますので、参考にしてください!
給料の仕組みは分かったけど、実際にいくら毎月もらえるのか分かる方法はないの?
外務省の「在勤基本手当の月額」という表を見れば、大体の給料は分かるよ。
地方自治体から外務省に出向する人は、若手の方が多いため(それほど高い役職についていない方)、「在勤基本手当の月額」という表の中で大体「7号」や「8号」あたりに貼り付けされます。これを1つの基準に自分の役職と照らし合わせて、大体の給料の目安を確認してみてください!
家賃補助(在外住居手当)もかなり手厚い(大使館アタッシェの場合)
在外公館での海外勤務手当には、配偶者手当、家賃補助、子女教育手当など色々あるんだけど、家賃補助についてはこちらを参考にしてくださいね。
結論を簡単に申し上げると、自己負担額が家賃の20%くらいで海外の都市部のマンションなどに住むことができます!ロンドンやパリなどの海外の大都会に一度は住んでみたい!って考えている方には本当にオススメの制度ですよ♪
日本勤務での住宅手当よりかなり充実しているね!
そうなんだ。その他の在外勤務手当については別の機会に説明するね!
実際、在外勤務手当はどうやって受け取るのか(大使館アタッシェの場合)。
実際、海外勤務中はどうやって在外勤務手当を受け取るの?
在外公館勤務中の在外勤務手当は、勤務先の国の銀行口座に振り込まれるよ
海外で勤務中の場合、地方公務員としての給料は本邦の給与口座に振り込まれますが、在外勤務手当や住居手当などは、各自の勤務先の国の銀行口座に振り込まれます。
そのため、海外勤務中は、日本の銀行口座と海外の銀行口座の2種類に給与や手当が振り込まれることになります。
海外の銀行の口座なんて、僕一人じゃ開設できないよ。
大使館勤務なら、現地スタッフの方が代行して口座開設してくれるから、心配ないよ!
地方公務員も海外勤務できる!?海外勤務時の勤務先や給料などを徹底解説!~まとめ~
いかがでしたか?最後に今日のまとめをしておきましょう。
本日のまとめ
✅地方公務員の海外勤務形態は、外務省への出向、地方自治体海外事務所及びの自治体国際化協会(クレア)への派遣の3つ。
✅大使館アタッシェの仕事内容は主に情報収集、本省への報告、人脈形成。
✅地方公務員で海外勤務できる人は語学ができる人が多い印象だが、語学力が低くても仕事自体は現地職員の助けがあれば、何とできる。
✅海外勤務時は地方公務員の給料に加えて、住宅手当などの在外手当(海外勤務手当)が支給される(大使館アタッシェの場合)。
海外勤務のデメリットもしっかり把握しよう!
でも、海外勤務はメリットばかりではないよ。以下のデメリットもしっかり確認しておきましょう。
海外勤務のデメリット
✅海外勤務を全員が希望をするというわけではないが、それでも狭き門ではあるため、海外勤務が実現しないケースもある。
✅家族連れで赴任する場合、配偶者の仕事の調整やお子さんの転校などをすることがある(対策はこちら)。
✅日本とは異なる海外での生活でストレスを感じる(対策はこちら)
✅文化の異なる外国人と仕事をしなければならず、ストレスに感じることもある(対策はこちら)
✅語学ができなくても何とか仕事はできるが、実生活を含め現地での生活に困難を感じる(対先はこちら)
✅好きな日本食が食べれなくなるかもしれない(対策はこちら) etc.
海外勤務っていいことばかりじゃないんだね。何か不安になってきたよ。
そんな不安なケイタ君には以下の記事を送るよ。これで海外勤務への不安が和らぐと思うよ。
でも、個人的には2年間でも海外勤務できて、海外勤務時にかなりの高給をいただけるため、海外勤務はかなりオススメだと思います!
「自分は語学ができないから、海外勤務なんて無理だ!」って諦めないで、海外勤務の希望を出していきましょう。この記事で1人でも多くの方が地方公務員として海外に羽ばたいていただけたら嬉しく思います。
語学が不安な方向けのリンクや記事を紹介!
最後に語学が不安な方向けの関連リンクや記事を貼っておきますので、参考にしてくださいね。
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