職場のトータルコストと機会費用を意識しよう!具体例とともに分かりやすく解説!

職場のトータルコストと機会費用を意識しよう!具体例とともに分かりやすく解説! 上司・職場コース
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 あなたは、職場でトータルコストと機会費用を意識していますか?この質問をすると、以下のような反応が出てきそうですね。

「トータルコストって何?」
「それって会社の経営者が考えることじゃないの?」
「機会費用ってなんか難しそうな経済学の用語だ」etc

 今日は、職場において「トータルコスト」と機会費用を意識することが、職員の労働生産性の向上、理想の時間配分「8・8・8」の実現に重要だということについて説明したいと思います。

 この記事を読めば、限られた労働時間の中で、最大の効果があがるように行動するヒントが得られると思います。

 なお、この記事での「トータルコスト」というのは、職場でのありとあらゆるコスト(例えば、人件費、電気代、コピー代、備品代など)という意味で定義します(機会費用の説明は、記事内で行います)。

ケイタ君
ケイタ君

 トータルコストを意識することが、労働生産性の向上に繋がるの?何だか難しそうだなぁ。

ケイタ君にも分かるように簡単に説明していくね。

鈴木先生
鈴木先生

この記事で分かること
✅職場でのトータルコストの意識が、労働生産性の向上に重要であることが分かる
✅機会費用の概念も意識すると、自分の得意な業務に集中するようになることが分かる

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トータルコストを意識していない実例3つ

コストのイメージ

 ここでは、まず私が実際に経験した「トータルコスト」を意識していない実例3つを紹介します。

 事例1:研修会の資料を外注ではなく、自前で印刷するよう指示されたKさん

 まず、私が新卒で入社した教育系独立行政法人(N社)での実例です。私は入社3年目くらいで、とある教育系の研修会を担当する部署で働いていました。その部署にいた、12歳上の先輩(Kさん)も私と同様、いくつかの研修会の企画や運営等の業務を行っていました。

 Kさんが、とある研修会の準備や運営に関する見積りを、N社の予算を統括する財務部に提出しました。ところが、財務部は、「見積もり内の資料印刷代が高額、外注する必要はない。印刷費用を見積から削除せよ」とKさんに指示をしてきました。

 Kさんは、「印刷をする職員の人件費と、外注するコストを比較した場合、外注した方がコストが安いから、外注すべきだ!」と財務部に反論しました。実は、KさんはN社のプロパー職員ではなく、外部からの出向者でした。その出向元の組織でのコスト意識から、N社の財務部と対峙していました。

 しかし、財務部は、「外注ではなく、自前で印刷をせよ!」と再度、指示してきました。Kさんは、この対応に大いに疑問を感じ、人事部宛に「もっとトータルコストを意識した方がいい」という内容の文章を送りつけました。Kさんとしては、N社のコスト意識のなさが許せなかったようです。

 結局、Kさんは仕方なく資料を印刷することになりました。研修会自体は無事に終わりましたが、その後に、Kさんは出向元に戻されることとなりました

 また、Kさんの出向元とN社は人事交流を行っていましたが、今回のKさんの事件を受けて、その人事交流すらもなくなってしまいました。

ケイタ君
ケイタ君

Kさんは正しいことをしたのに、出向元に戻されてしまうなんて、何だか理不尽だなぁ。

財務部としては事業費は減らさないといけないけど、人件費は彼らに関係ないからね。ホント理不尽だよね。

鈴木先生
鈴木先生

 事例2:資料印刷、封入、発送を全て外注することを拒否するA上司

 これは現在の勤務先での話です。Sさんは、会員向けの資料を作成し、この資料を会員に郵送する業務を行っていました

 資料の発送部数は1,000件程度。印刷する資料も多かったため、Sさんは、「資料の印刷、封入、発送を全て自分が行うのは、大変非効率的だ」と感じ、上司であるAさんに、「資料の印刷・封入・発送を全て業者に外注したい」と申し出ました。

 ところが、このA上司は、「印刷はそこのプリンターでして、資料の封入と発送だけ外注しなさい。封入と発送だけなら、K社(かなり安く封入と発送はしてくれるが、資料の印刷はしてくれない会社)に外注すればいい」とSさんに言いました。Sさんも、こんなこと言われると思っていなかったため、全く納得していませんでした。

 その後、Sさんは通常の勤務時間では資料の印刷をする時間がなかなか取れず、また、プリンターは他の人も使用し、通常の勤務時間内でプリンターを独占することも難しいため、定時後に残業をしながら大量の印刷をすることとなりました

ケイタ君
ケイタ君

全部、外注した方がSさんには楽じゃないのかな?その空いた時間で他の業務もできるだろうし。。。

このA上司は自分の部署の予算ばかり気にしていたんだろうね。事例1と基本的には同じ構造だよ。

鈴木先生
鈴木先生
\こちらも合わせて読みたい/

A上司の無能さをさらに知りたい人は、「上司論」をどうぞ!

 事例3:係内の意味のない引っ越し

 これも現在の勤務先での話です。Sさんの係の一人(Nさん)が退職することになり、後任に新しい人(Zさん)が着任することとなりました。NさんとZさんは、引継ぎのため2週間ほど勤務が重なることとなったため、Zさんの席を係内に設けなければいけなくなりました

 普通は、空いている席をZさんの席とすればいい(もしくはNさんの席をZさんの席にする)ところを、A上司は何を考えたのか、係全員の配置換えを行うこととなりました。具体的には、Sさんの係は、職員がみんな横一列に並んで座っている配置のため、一人ずつ横にずれて、一番右の空いた席を新しいZさんの席とするプランでした。図で表すと以下のとおりです。

 上の図を見て分かるように、引継ぎのために、K・S・T・Aさんが全員左に動いています4人が引っ越しをするという、とても大きなコストが発生してしまいました。また、Nさん退職後にK・S・Tさんは元の座席に戻り、しかもAさんだけなぜかNさんの座席に移動することとなりました

 つまり4人が2回引っ越しをするという大変手間のかかることが行われたということになります。

ケイタ君
ケイタ君

無駄すぎて言葉が出ないよ。。。

 因みに上司Aさんは何らの業務上のメリットを感じて、この配置を決定したようですが、係の誰一人もこの配置に納得していませんでした。こういう賛同を得られない、独りよがりの意思決定を上司がすると、この上司への信頼はどんどん失われていきます。

鈴木先生
鈴木先生

この上司は、もっと部下の人とコミュニケーションをとった方が良かったね。

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事例1~3でかかったトータルコスト

コストのイメージ

 以上の3事例で、どのようなコストが発生しているか分かりましたか?

 ここからは具体的なコストを見ていきたいと思います。これらのコストと、外注するコストを比較して、コストがよりかからない方で仕事を進めていくのが組織運営上、効率的で、健全なことです。

人件費

 まず圧倒的に人件費がかかっています。事例1と事例2は外注しないで自前で印刷しているため、その印刷をしている職員の人件費が、当然かかります。

 このような作業を人件費が比較的安価な派遣社員やアルバイトなどの方に行っていただくのならまだましですが、事例1と事例2の印刷作業は正社員が行っていました。正社員のため、派遣社員などの方より人件費がかかるのは当然です。

 また、事例3にも人件費がかかっています。当然、席の引っ越しは勤務時間内に行うため、その引っ越し時間分の人件費がかかります。

 しかも、事例3は無駄に2回も引っ越しをしています。だったら、最初から、退職するNさんの席に新規採用のZさんに座ってもらうのが、トータルコスト的に一番安価ではないでしょうか。

電気代

 事例1・事例2では、コピー機を使用するため、当然電気代がかかります。昨今は電気代が高騰しているため、以前よりさらに電気代がかさむ傾向にあります。

 もちろん、仮に業務を外注したとしても、外注先でもコピー機を使用する電気代はかかるため、一概に外注した方が安いというわけにはなりませんが、電気代がかかるという点は意識しておいて損はないでしょう。

ケイタ君
ケイタ君

会社にいると、会社の電気代なんて気にしないもんね。。。

用紙代・トナー代・これらを取り換える手間

 用紙代・トナー代もかなり高額ですでも、それ以上にコストがかかるのが、用紙やトナーを取り換えるときにかかる手間(人件費)です

 コピーをしていると、用紙やトナーを補充したり、紙詰まりや故障などにも対応をしなければなりません。最悪の場合は、プリンター会社に連絡して、コピー機を修理してもらうこともあります。印刷の外注をせずに自前で行うと、人件費も増えるし、コピー機の故障という大きなリスクも背負うことになります。

ケイタ君
ケイタ君

こんなに色んなコストがかかるんだね。

これらのトータルコストを意識することがまず大事だよ。その次にこのコストを別のことに使っていたら、どうなったか考えることが機会費用の概念なんだ。

鈴木先生
鈴木先生
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機会費用という概念を意識しよう

機会費用のイメージ

 今まで事例1~事例3を通じて、トータルコストを比較して、業務を遂行するのが、非常に経済的で効率的であることを見てきました。我々の勤務時間は有限であり、その限られた時間で最大のパフォーマンスを出すことにより、労働生産性の向上に繋がっていきます

 そこで紹介したいのが、「機会費用」という経済学の概念があります

ケイタ君
ケイタ君

鈴木先生、難しい経済学の用語なんて使わないでよ!!

なるべく分かりやすく説明するから、ついてきてね。

鈴木先生
鈴木先生

 例えば、Bさんが1時間、家でゲームをして遊んでいたとします。その1時間でアルバイトをすれば、900円くらいはアルバイト代を受け取ることができます。つまり、Bさんは家で1時間ゲームをすると、900円というアルバイト代を失ってしまいます。このバイト代を失うことを機会費用と呼びます

 また、事例1~3にも大きな機会費用がかかっています

 事例1と事例2では、KさんとSさんが仮に自分で印刷をせずに、外注していれば、その分、他のKさん・Sさんが得意な作業に取り組むことができたでしょう。もしかしたら、KさんとSさんは、この印刷していた時間で、素晴らしい成果(民間企業でしたら、契約を1件取ったとか、売り上げを上げたということをイメージすれば分かりやすいでしょう)をあげたかもしれません。

 つまり、外注をしなかったがために、契約成立などの成果が発生しなかった、つまりその成果分が機会費用となってしまったのです。事例3も意味のない席替えによって、貴重な労働時間が失われてしまいました(機会費用になってしまいました)。

ケイタ君
ケイタ君

事例1~3も機会費用で考えると、分かりやすいね!

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まとめ

 いかがでしたか?職場でのトータルコストを意識して、そのコストを別のことに使っていたら、どうなるかという機会費用の概念について説明してきました。

 機会費用を意識すると、「この時間で最も効率的にできる仕事は何か」ということを意識するようになります。つまり、労働の生産性の向上にも繋がっていきます。

 皆さんもぜひ大きな視点から現在の業務を俯瞰していただき、「この業務は本当に自分がやるべきか?」、「もっとコストが安くて効率の良い方法はないのか」などのトータルコストを意識して仕事をしてみてくださいね!

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