「将来的に海外勤務したい!」、「今勉強している語学を使って仕事がしたい」と思っている学生の方は多いかと思います。でも、そんな学生さんは以下のような悩みをお持ちではないでしょうか。
私のところにも時々同じような悩みで相談に来られる方がいますが、そんな方には外務省在外公館派遣員をオススメしたいと思います!
外務省の派遣員??聞いたことがないなぁ。外交官とは違うの?
簡単に言うと、大使館などで働く日本の派遣社員のことだよ。
今日の記事を読めば、世間ではあまり知られていない外務省在外公館派遣員の魅力や給与などについて、詳しく知ることができます。
大学などで語学を勉強していて、将来もその語学を使って仕事をしたい方などに特にオススメですので、最後まで読んでみて下さい!
なぜ外務省在外公館派遣員がオススメなのか?
なんで外務省在外公館派遣員がオススメなの?
一番の理由は、勉強してきた語学を使えて、比較的簡単に海外勤務を経験できるところだね。順番に説明していくよ。
外務省在外公館派遣員とは
まずは、派遣元の一般社団法人国際交流サービス協会HPの説明を見ていきましょう。
まず、公式HPの定義を確認
以下は一般社団法人国際交流サービス協会HPに記載されていた派遣員の説明です。
【派遣員制度について】
一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HPより抜粋
外務省在外公館派遣員とは、労働者派遣法の下で、わが国の在外公館(大使館、総領事館、政府代表部、領事事務所)に原則2年の任期をもって派遣され、主として館務事務補佐などの実務面にあたる傍ら、国際社会での経験を積み、友好親善に寄与してもらおうとするものです。
具体的な仕事の内容は在外公館によって異なりますが、主に語学力を活用した様々な業務の支援を行うこととなります。これには公用出張者が来訪する際の空港における作業やホテルの予約及び会計、庶務などの部署での文書作成や対外的な折衝への立ち合いなどが含まれます。
令和2年4月1日現在、214公館に248名を派遣しています。
なんかよく分からない説明だね。派遣員って外交官とは違うの?
派遣員は外交官ではないよ。順番に説明していくね。
外務省在外公館派遣員は外交官ではなく、在外公館への派遣社員のイメージ
まず、派遣員は外交官ではありません。そのため、外交パスポートで外国に赴任することはありません。
でも、派遣員は公務で外国に行くため、一般パスポート(赤や紺色のパスポート)ではなく、緑色の公用パスポートが支給されます(詳しくはこちら(外務省のやわらかツイート)をご覧ください)。
そのため、在外公館派遣員は外交官ではありませんが、外部の人からしたら、そんなこと分からないため、一般的に外交官と思われています。
大使館などには外交旅券を持たない外交官以外の人も働いているんだね!
そうなんだ。でも、派遣員さんは外交官じゃないから、「ペルソナ・ノン・グラータ」の対象にはならないよ。気になる方は以下の記事を見てみてね。
また、名前の通り、派遣員は外務省の在外公館に派遣される「派遣社員」です。実際、先ほど引用した「一般社団法人国際交流サービス協会HP」でも「労働派遣法の下で・・・派遣され」って書いてありますね。
外務省在外公館派遣員の仕事内容は?
次に気になる在外公館派遣員の仕事内容について見ていくね。まずは公式HPの説明を見ていきましょう。
【在外公館派遣員の仕事内容】
一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HPより抜粋
主に語学力を活用した様々な業務の支援を行うこととなります。これには公用出張者が来訪する際の空港における作業やホテルの予約及び会計、庶務などの部署での文書作成や対外的な折衝への立ち合いなどが含まれます。
分かったような、分からないような説明だね。もっと分かりやすく説明してよ!
もちろんだよ!
便宜供与
まず、在外公館派遣員の仕事のメインが、「便宜供与」と呼ばれるものです。
例えば、総理大臣、外務大臣、政治家などが皆さんの赴任国に出張したとします。皆さんの赴任国のことは全く知らない彼らの空港の手続き、ホテルの予約、移動手段(大体が車)の確保などは、誰がやっていると思いますか?
そうです、これらの仕事は在外公館派遣員の方が主にやっていて、外務省ではこれらの仕事のことを、「便宜供与」と呼んでいます。
また、空港の手続き、ホテルの予約、移動手段の確保には、当然、語学力が必要ですよね?だって、全て外国での仕事ですから。だから、在外公館派遣員にはそれなりの語学力が求められるのです(どれくらい語学力が求められるかは、こちらで確認してください)。
大使館内の事務補佐
でも、日本からの出張者って、毎日赴任国に来ないよね?じゃあ、普段の仕事は何しているの?
いい質問だね!簡単に言うと、在外公館内の外交官のお手伝いのような仕事をしているよ。
大使館や領事館などでは、複数の班(総務・政務・経済・広報文化・会計・通信・領事など)があります。
(所属先の在外公館にもよりますが)その内、在外公館派遣員の方は主に総務・会計・広報文化・領事などのお手伝いをしています(それぞれの業務内容については、以下の記事を参照してください!)。
例えば、「赴任者の住居探し、不動産業者との連絡・交渉、営繕関係の現地業者との連絡調整・通訳など」様々です。
また、外交官一般職の中には、現地の言葉ができない人もいるので、そのような方と現地業者や現地職員などとの通訳をすることもあります。
在外公館派遣員になれば、皆さんが勉強していた語学は仕事で必ず使うよ。これはとっても大きな魅力だよね。
外務省在外公館派遣員の給料や待遇は?
派遣員のステータスや仕事内容は理解できたよ。でも、一番気になる給料や待遇はどうなの?
やっぱり気になるよね。じっくり解説していくよ。
公式HPで給料を確認
では、まず一般社団法人国際交流サービス協会のHPで給料や待遇を確認してみましょう。
【待遇】
一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HPより抜粋
(1)国際交流サービス協会の嘱託職員として採用され、各在外公館に派遣されます
(1年契約、更新は一回まで可)。
また、同協会の規定に基づく報酬、住居費、及び渡航に関する費用等を支給します。
(2)社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)に加入し、労災保険が適用されます。
(3)月額報酬はおおよそ24~39万円で、金額は派遣先により異なります。
(4)詳しい労働条件等は試験会場にてお伝えします。
・試用期間: なし
・就業時間: 原則として1日7時間45分勤務
・時間外労働: あり
・加入保険: 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
・募集者の氏名: 一般社団法人国際交流サービス協会
・雇用形態: 派遣労働者(嘱託職員)
「月額報酬はおおよそ24~39万円で、金額は派遣先により異なります。」って書いてあるけど、自分の希望している国でいくらもらえるか把握する方法はないの?
ケイタ君の疑問はもっともですね(笑)。「24~39万」ってざっくりしすぎていて、「自分がいくらもらえるか知りたいんだよ!」と怒った方もいるのではないでしょうか。
外交官がもらう「在外基本手当」の9号に0.8をかけた数字が、大体の給料の目安だよ。自分の赴任希望国の給料もこれで大体分かるよ。
え、そうなの!?それなら簡単に自分の給料の目安が分かるね。
※外務省HP「別表第一 在勤基本手当の月額」(令和5年11月1日時点)はこちらからどうそ!
在外基本手当というのは、生活が大変なところほど手当が多くて、日本に生活レベルが近い国ほど手当が低いっていうものでしたね。だから、在外基本手当をベースにしている派遣員の給料も「24万~39万」と幅があるのです。
在外基本手当について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください!
外務省本官と違い、残業代が支給される
また、外務省本官と違い、在外公館派遣員にはなんと!残業代が支給されます!!!
これは、大きなメリットかと思います(でも、総理大臣や外務大臣などが赴任国に来ることがなければ、館にもよりますが、基本的に残業することは少ないです)。
あと、残業代に加えて、賞与も支給される(12月に年末手当として支給)点も見逃せないGood pointですね(一応、基本給が支給されるため、それをベースに賞与が計算されます)。
すごく待遇良さそうだね!でも、外交官の職員とは、給料面は見劣りするんだよね。
ケイタ君、鋭いですね(笑)。
外交官職員(外務省正職員)は、在外勤務中も国家公務員としての基本給が支給されています。一方、派遣員の方も基本給という名目で給与が支給されていますが、この額がかなり低いと言われています。
もちろん、派遣員の給料自体は、新卒社会人の給料より高いところもあるため(実際、私の派遣員の友人も「給料がいい」って言っていました)、本邦給料が支給されなくても、そこまで悲観的になる必要はないと思います。
住宅手当、健康管理休暇など待遇は悪くない
また、在外公館派遣員にも住宅手当が支給されます。これは先ほど引用した「一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HP」にもしっかり「住居費支給」との記載があります。
あと、外務省正職員のみならず、在外公館派遣員にも健康管理休暇という休暇制度が用意されています。
健康管理?健康を管理するための休暇ってこと?よく分からないなぁ。
そう、ケイタ君のいうとおり、健康管理休暇というには、皆さんの健康を管理するための休暇なのです。
例えば、皆さんが医療事情が良くない発展途上国での勤務をしたときに、「持病の〇〇が痛い!」とか、「歯の治療をしたいけど、日本以外で歯の治療なんてできないよ!」ということがあるかと思います。
そういうときのために、国は外国で働く外務省職員や派遣員のために、日本などの先進国までの渡航費を公費で負担してくれる制度、つまり健康管理休暇制度を設けています。
休暇のため、皆さんの有給休暇を使用することになりますが、こういう制度があるからこそ、比較的安心して(?)発展途上国での勤務に就けるのです。
なお、休暇を取得するためには、赴任国の勤務の厳しさなどの基準により、半年とか1年とか勤務しないといけない点、先進国にはこの健康管理休暇制度はない点(そういう国は医療水準高いですからね)は覚えておきましょう。
任期は原則2年ってどういうこと?
在外公館派遣員の任期は原則2年となっていますが、先ほどの「一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HP」にも記載のあるとおり、「1年契約、更新は一回まで可」となっています。
どういうことかというと、「原則は2年だけど、場合によっては3年までは勤務できるよ」っていう意味です。
任期が決まっているため、終身雇用ではないけど、転職が当たり前の現在で、若い内に数年間も海外生活・海外勤務ができるのは大きなメリットだよね。
なお、「派遣員の任期後はみんなどうしているの?」という疑問には、後ほど解説していこうと思います。
外務省在外公館派遣員になるにはどうすればいいのか
では、魅力たっぷりの外務省在外公館派遣員になるにはどうしたらいいのでしょうか。順番に解説していきます。
外務省在外公館派遣員の試験内容を確認
まずは、公式HPを確認してみましょう。
【選抜試験】
一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HPより抜粋
(1)一次試験
・会場: 東京、大阪(予定) *2会場で同時に実施します。
・科目: 受験語学による筆記試験、一般常識、日本語作文、適性検査
(注)受験言語は一言語のみ。複数言語の受験はできません。
・語学力の目安: 外国語で書かれた新聞や雑誌を辞書を使わずに理解して、その言語で内容を説明できる程度
(2)二次試験
・会場: 東京のみ *受験者によって集合日時が異なります。
・科目: 受験語学による会話試験、人物面接
筆記試験と面接か。やっぱり語学も求められるんだね。でも、語学力の目安が不明確だよね。。。
やっぱりそう思うよね。次に求められる語学力のレベルを解説していくよ。
語学試験のレベルはどの程度必要か。
この公式HPの「語学力の目安:外国語で書かれた新聞や雑誌を辞書を使わずに理解して、その言語で内容を説明できる程度」って、結構レベル高そうに思いませんか?
辞書を使わずに理解って、僕には無理だよ。
でも、私が実際に派遣員の方と話したり、彼らが使っている語学を見て、感じたレベルは、以下の「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」で(最低)B1です。
下から3番目のレベルだね!頑張れば到達できそうなレベルだよね。
そうだね。赴任後に語学を使うことでさらに自身の語学が伸びていくよ。
もちろん、語学力以外の一般常識や人物試験も重要ですが、派遣員は語学ができないと仕事ができないため、語学が最も重要でしょうね。参考までに英語などの外国語の勉強に役立つ記事を貼っておきますね。
因みにフランス語や韓国語を鍛えたい方は以下の記事が参考になりますよ!
実際どれくらい募集しているの?倍率は?
一般社団法人国際交流サービス協会 外務省在外公館派遣員制度HPの資料によると、令和5年4月1日現在、217公館に251名を派遣しています。
直近の募集状況(第99回派遣員試験募集公館・試験語学)は、72の在外公館で合計72名の派遣員の募集がありました。募集言語は以下の通りです。
うゎ~、こんなに言語募集しているの!さすが在外公館だね。
だから、マイナーな言語を勉強している人にとっても、派遣員制度はとっても魅力があるんだ。
こんなに魅力的な制度なら、競争率高そうだね。
ケイタ君、いい指摘ですね!
残念ながら、実際の倍率などは公表されていませんが、印象としては、アメリカやフランスなどの先進国の派遣員ほど人気が高く、アフリカなどの生活が厳しいところの派遣員は中々決まらないことがあるようです。
2023年1月現在、以下のアフリカ2公館では、追加募集が行われています(現在は募集が終了)。以下の2公館の追加募集の理由が不人気だからかどうかは正直分かりませんが、「かなりの可能性で誰も希望しなかった、もしくは希望には書いていたけど、断った可能性が高い」と思います。
なお、派遣員の募集要項をみていただければ分かりますが、派遣員試験を希望される方は、希望公館として第1希望から第5希望まで書くことができます。
「さすがに下位の希望になることはないだろう!」と思う方もいるかもしれませんが、フランスなどの先進国ポストはすぐに埋まってしまうため、下位に適当に書いたアフリカ公館に赴任が決まるってこともよくあると聞きます。
そのため、希望公館の順位は慎重に選びましょう!
アフリカの駐在生活の苦労話に関する本を出版したので、参考までにリンクを貼っておきますね。
大学生でも申し込みできるの?
ねえ、大学生でも在外公館派遣員に申し込むことはできるの?
もちろん可能だよ。応募資格のところに「高等学校卒業以上の者」って記載があるからね。
ただ、私が接してきた在外公館派遣員の方は全員大卒以上の方でした。
大学生でも申請はできますが、大学を卒業してからでも、在外公館派遣員になるのは決して遅くありません。大学在学中にしっかり語学を勉強してから、世界に羽ばたきましょう!
社会人が会社の休業制度を利用して、派遣員制度に申し込むことはできるの?
社会人の人が、会社の休業制度を利用して、派遣員制度に申し込むことはできるの?
あまり知られていないけど、実は可能なんだ。協会HPに掲載されている資料の質問39の回答を見てみて!
自動車免許が必要
ねぇ、ちょっと気になったんだけど、なんで自動車免許が必要なの?
募集要項には「自動車免許が必要」って書かれていて、ケイタ君のように気になった方もいるのではないでしょうか。
答えは簡単で、「赴任地の移動で自動車に乗る機会が多いから」です。
先進国ならば、公共交通が発達しているため、自動車なくても大丈夫かもしれませんが、アフリカなどの発展途上国での移動は基本的に自動車です。
そもそも移動手段が自動車しかないこともありますが、何より自動車で移動しないと危ないという治安上の理由もあります。
派遣員を目指す、目指さないに関わらず、海外勤務を希望される方は、自動車免許はほぼ必須ですので、取得しておきましょう!
こちらの外務省の資料にも「教習中、仮免許、取得見込みでは応募不可」ってはっきり書かれているね
外務省在外公館派遣員の任期後はどうなるのか。
派遣員の人って任期後はどうしているの?転職しないといけないから、大変だよね。
僕が知っている限りの一例を以下に挙げておくね。
ここでは、一番上に挙げた「外務省への中途採用」について補足したいと思います。
具体的なパーセンテージは分かりませんが、かなりの派遣員さんが「外務省への中途採用(※派遣員専用の中途採用試験)」試験を受けるようです。全員合格しているかまでは分かりませんが、在外公館である程度真面目に働いていれば、よほど変な人でない限り、試験の基準を満たせば、合格しているようです。
外務省っていうと、なかなか入りにくいイメージがありますが、こういう道から外務省を目指すこともできるってことは、派遣員を目指す方は頭の片隅にでも置いておいた方がいいでしょう。
外務省の採用ページはこちらからどうぞ!
なぜ外務省在外公館派遣員がオススメなのか?魅力や給料などを徹底解説!~まとめ~
いかがでしたか?それでは今日のおさらいをしておきましょう!
在外公館派遣員のデメリットはないの?
でもさぁ、在外公館派遣員ってメリットだけじゃないでしょ?デメリットはないの?
もちろんあるよ。以下のようなデメリットがあるね。
それでもさぁ、海外で勤務するのって不安しかないよ。自分にできるかな。
海外勤務に不安を感じているケイタ君は、この記事を見てごらん!かなり不安が和らぐと思うよ。
デメリットはありますが、それでも若いうちに比較的簡単に海外勤務ができて、自分が勉強してきた好きな言語で仕事ができるのは、デメリットを上回るメリットがあると思います!
今日の記事が皆さんののお役に立てれば嬉しく思います!
(参考)語学が不安な方向けの記事やリンク
今日の記事を見て、「もっと語学勉強しないと!」と思った方は、言語別に以下の記事もオススメです。参考までにリンクを貼っておきます。興味のある方はご覧ください。
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