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今日は、公務員試験か民間企業就活の両立に悩んでいる読者の方から以下のような質問を受けました。
「現在大学4年生で、公務員試験を目指して勉強してきましたが、全て落ちてしまいました。大学を敢えて卒業しないで(いわゆる5年生)、公務員試験の勉強をしつつ、民間の就活もすべきか、また、卒業して公務員試験のみに再チャレンジするか、迷っています。鈴木先生ならどうしますか?」
このような質問をいただいたので、今日の記事で回答していきたいと思います!
公務員試験か民間就活かというのは、文系大学生なら誰しも一度くらい考えたことがあるテーマでしょう。今日の記事を読めば、公務員試験の性質や、現在の転職市場のことなどを勉強することができるため、これからの進路に迷っている方にはとても有益だと思います!
また、大学生でなくても、大学生などのお子さんがいる方や、高校生の方にもオススメの記事ですので、最後まで読んでみてください!
公務員試験か、民間企業就活かってとっても難しい選択だね
そうだね。結論は「民間就職に専念せよ」だよ。僕の20年余り及ぶ公的機関勤務の経験から説明していくね
この記事のメリット
・公務員試験の性質や、現在の転職市場のことなどを勉強することができる
・新卒採用の重要性が分かる
公務員試験 or 民間就活・・・鈴木先生の結論は
結論から申し上げますと、「大学を卒業しないで、民間の就活をして、社会人になった後に、公務員になりたいと思ったら、公務員に転職すればいい」です。その理由を説明していきます。
結構、意外に思われた方もいいのではないでしょうか。まずは民間就活を目指す理由を説明していくね。
新卒一括採用は新卒者の特権
まず、新卒一括採用は新卒者にしか認められていない特権です。日本では転職市場が多少なりとも活発化しているとはいえ、日本企業は、まだまだ新卒採用を重視しています。
どうして日本企業は新卒採用者を重視しているの?
ケイタ君、いい質問ですね(笑)
実は、多くの日本の組織は、「自分の組織の文化に社員を染めたいと考えているため、他社を知らない新卒者を好む」傾向にあると言われています。
実際、日本企業は、新卒者の知識や能力というより、その人の性格や気質が自社に合うかどうかを見ているとも言われているね。
日本の場合、一部の実務系大学(医療や看護など)を除き、大学の勉強内容と、企業の分野や仕事内容などが直接結びつくことは、あまりありません。
そもそも大学の勉強って何なんだろうと疑問を持ちたくなりますが、日本企業は大学での知識などより、他社の文化に染まっていない就活生の若さと成長性にかけて採用していると言ってもいいでしょう。
これが新卒一括採用の実態なんだね。。
また、学生の側からすると、新卒でないと入社しにくい会社があるのも事実であり、企業側も学生側もそれぞれ新卒一括採用にメリットを見出しています(以下の記事を参考にしてください!)。
「新卒でないと入りにくい会社」トップ100 | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
今回の質問者さんのように、卒業して公務員試験一本に絞るというのは、この新卒一括採用という権利を放棄してしまうことにほかなりません。これはあまりにももったいないです。
民間の業務を経験して、自分の専門性を磨く
新卒一括採用のメリットは分かったけど、社会人最初の仕事は、公務員より民間の方がいいのはなぜなの?
民間の方が、公務員より専門性が身につきやすいからだよ。
公務員の仕事(特に総合職で採用になった場合)は、様々な業務を経験してキャリアを経験していくことが多いですが(いわゆるジェネラリスト)、業種や職種にもよりますが、民間の場合、公務員と比較して、業務が特定されているため(例えば、営業、販売など)、公務員より、自分の専門性が身に付きやすい傾向にあります。
そのため、民間の方が自分の専門性を磨きやすくなり、スペシャリストを目指しやすくなります。
スペシャリストを目指した方がいい理由については、以下の記事を読んでみて下さい!
公務員から民間への転職が増えている
現在の日本社会は徐々に転職が当たり前になってきています。
実際、マイナビ社の「転職動向調査2022年版(2022.03.25)」によると、2021年の20~50代男女の正社員転職率は過去6年間で最も高く7.0%だったとのことです。
そのため、従来のように「とりあえず何でもそこそこできる」という人材より、「この分野なら詳しいです!」という人材の方が当然、求められてきています(転職するからには、自分の売りがないといけないので)。
公務員の業務も昔と違い、かなり幅が広くなってきているため、公務員の世界でも、様々なバックグラウンドを持った人材を積極的に採用するようになってきています。
実際、民間企業から公務員を目指す人が増えていることを背景に、公務員の求人数も増えてきています(参考:公務員への転職広がる 求人は3年で4倍、DXにニーズ(NIKKEI STYLE 2021/12/25))
また、最近、離職者増に悩む外務省が経験者採用でキャリア(総合職)職員を募集していますね(詳細はこちら)。このように民間→公務員の流れは以前より確実に増えています。
公務員試験は年齢制限に引っかからなければ受験可能
公務員試験の1つの問題は、年齢制限があることです。でも、ほとんどの公務員試験では、新卒の年齢(ストレートで行けば22歳)以上の年齢でも受験可能です。
例えば、2022年度横浜市職員試験(事務職)は「22歳から30歳」が受験資格年齢とされています。また、国家公務員の外務省専門職員試験(2022年度)は、「21歳以上30歳未満」が受験資格年齢とされています。
このように、いったん新卒で民間に就職してみて、やはり「公務員を受験したい」と考えても、遅くはないというわけです。
仮にこの年齢制限に引っかかってしまったとしても、最近は多くの公的機関で中途採用を行っておりますので、そちらに応募することも可能です。
公務員試験のための予備校代の捻出が学生より容易になる
公務員になるには、独学も可能ですが、公務員専門予備校に通った方が、効率的に合格することができます。
でも、学生さんの中には、「大学の学費や生活費だけでも工面するのが大変なのに、予備校代なんか出せないよ!」という方もいるかと思います。確かに全ての保護者が予備校代を出せるとは限らないですからね。予備校代が出せずに、公務員の道をあきらめた人も少なくないはずです。
そのため、どうしても公務員になりたいけど、金銭的に余裕がない方は、新卒採用で企業に就職して、専門性とある程度の資金を得てから、公務員試験を目指してもいいでしょう。
社会人から公務員への転職へのハードルってあるの?
でもさぁ、社会人から公務員に転職するって大変じゃないの?新卒採用より不利じゃない?
ケイタ君の疑問ももっともです。ケイタ君の疑問に答えていきましょう。
公務員試験で年齢差別はあるの?
結論から申し上げますと、「受験可能年齢内なら年齢差別(年齢が若い方が採用されやすいということ)はない」です。
私は29歳のときにとある国家公務員に2度目の挑戦で合格しましたが、年齢制限が30歳までだったため、私が同期の中で最年長でした。私の合格自体が、公務員試験に年齢差別はないということを物語っています。
実際、採用側が若い新卒者を採用したいと考えているのなら、私のような中年(笑)者は採用しなくていいはずです。
でも、実際29歳で採用になるということは、年齢での差別はなく、単純に他の受験生より、筆記試験や面接試験の点数が良かったからです。
因みに私の知り合いで元国家公務員のMさんも、「公務員試験は点数の世界だから、年齢は関係ない!」と言っていました。
勉強時間の確保が難しい
また、民間から公務員に転職する場合は、ある程度、受験勉強が必要になります。
私の場合は、社会人をしながら、予備校に2年半通い、公務員試験に合格しました。社会人だったため、当然、勉強時間の確保に最も苦労しました(私の時間捻出術は以下の記事などを参考にしてください)。
社会人を辞めて、公務員試験一本に挑戦する人ももちろんいます。
その決意は称賛に値するものですが、社会人をやりながらでも、公務員試験を目指すことは可能です。どちらが正解というものではないですが、皆さんの状況次第で選択してもいいのではないかなと思います。
最後に
いかがでしたか?最後に本日のおさらいをしておきましょう。
本日のまとめ
✅新卒一括採用は新卒者の特権
✅民間の業務を経験して、自分の専門性を磨く
✅公務員試験は年齢制限に引っかからなければ受験可能。いきなり公務員になる必要はない
✅民間企業で稼いで、公務員試験のための予備校代を捻出することもできる
✅社会人から公務員への転職へのハードルも、公務員試験での年齢差別もない
中途採用などにより、公務員になる選択肢が増えてきました。公務員に本当になりたいかというのは、新卒採用で民間に行ってから、再度考えてみてもいいというのが私の結論です。
この記事が、この質問者さんのみならず、進路に悩んでいる多くの方の悩みの解決に少しでも役立ってくれたら嬉しく思います!
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