皆さんは、外国人の友人と日本などで久しぶりに会ったときに、レストランなどに行くこともあるかと思います。
そのときに、「どんな日本食を選べばいいか分からない」とか、「とりあえず代表的な日本料理の寿司を選んでおけばいいでしょ」と考えたことはないでしょうか。外国人との食事選びって、宗教や習慣の違いからかなり選ぶのが難しいですよね。
今日は、私が、今まで400回以上、外国人の方と会食をしてきた中で会得してきた、失敗しにくい外国人の方との食事の選び方について説明していきます。この記事を読めば、外国人の方と急に食事をすることになったとしても、ある程度は対応できることになると思います。
また、この食事選びは、国際理解教育の上でも重要なポイントになりますので、社会人の方に限らず、学生さんにもぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。
僕の国では生ものの魚は食べないから、寿司は苦手だな
僕が知っている限り、アフリカの人は、生の魚を食べる習慣はないからね。そういうことを理解していくのも、国際理解教育では大事なんだ。
食事選びのポイント
まず、外国人の方と食事をしたことがある方に伺います。皆さんはどうやって食事選びをしてきましたか?
もしその外国人の方に直接「何を食べたいか」聞けるのであれば、聞くのが無難でしょう。そこで具体的な料理名が出てきたら、そこの専門店などで食事をすればいいので、それほど外れることはないでしょう。
外国人の人から、オススメの日本料理は何?って聞かれたときに困るんだよね
宗教
ケイタ君の疑問はごもっともです。外国人の方から「オススメの日本料理は何?」と聞かれて、皆さんはどう思うでしょうか?
「とりあえずあの店の〇〇がおいしいから、そこに行こうかな」とか、「最近できたあの店に行ってみるか」と考えたそこのあなた!その発想は大変危険です。
なぜなら、食文化というのは国によっても、人によっても異なるからです。
まず宗教によって食文化が異なります。これは想像しやすいかと思います。例えば、イスラム教は豚肉が食べれませんし、イスラム教の儀礼に則った形(ハラール)でなければ、基本的には鳥や羊も食べれません。
日本人の方はあまり宗教を意識しないけど、海外の方は基本的に何らかの宗教を信仰していると考えた方がいいね。
ただ、イスラム教でも豚肉のみダメで、鳥や羊はハラールでなくても食べれる人や、魚以外の肉類全般ダメな人もいます。こういう宗教上食事の制限がある方に対して、「とりあえずあの店に行ってみるか」というのはとても危険ですよね。
イスラム教などの宗教上の理由で食べれないものがある人を食事に誘う場合、その人は自分がイスラム教であることを申し出るはずなので、それは尊重して、店選びをしましょう。
宗教による食事の制限は、分かりやすいね
国・地域
また、国や地域によっても、食文化が異なります。以下は、私の知り合いがアフリカのマリ人を日本に招へいしたときの話です。
そのマリ人の方は、日本に研修で日本に2週間ほど来ていました(初来日です)。私の知り合いは、そのマリ人を寿司や天ぷらなどの日本料理屋に色々連れて行ったとのことです。でも、そのマリ人が、日本で「これは美味い!!」と言って、がつがつ食べていた料理が何だったか分かりますか??(分かったらすごいです)
正解は・・・なんと吉野家の牛丼だったそうです!!!!!なぜそのマリ人は吉野家の牛丼をこれほど好んだのでしょう。
マリの人が吉野家の牛丼を好きになってくれて、日本人として嬉しく思ったよ
マリ人が普段何を食べているか調べてみると・・・
まぁなかなかマリ人と食事するのは珍しいかと思いますが、マリ人が普段何を食べているのかネットで調べてみましょう。
在マリ日本大使館のHPによると、「マリ人の主食は米とキビ(イネ科の1年草の穀物)で、マリの全8州で食されています。しかし、おかずとなるソース(肉や魚、野菜と香辛料をベースにしたもの)は、各州それぞれの特色があります」とのことです。
どれも美味しそうだね!
これらの料理は、マリ人なら知らない人はいない伝統的な料理です。見ていただいて分かるかと思いますが、ご飯などにスープをかけて食べるのが主流だということが分かります。これって何かに似ていませんか???
そうです!吉野家の牛丼のつゆだくにそっくりではありませんか!?マリ人も日本人と同じようにお米をよく食べます。そのマリ人からしたら、ご飯に牛丼スープをかけて食べているような感覚で、吉野家の牛丼を食べていたのではないでしょうか。
今の時代、日本では聞き慣れないアフリカの料理でさえ、インターネットなどで簡単に見つけることができます(中にはレシピが書いてあるサイトもありますね)。そのため、外国人だから、「とりあえず寿司を選べばいいか!」という考えは、とても危険です。
アフリカ人は生の魚は食べない(私見)
アフリカでは、生の魚は基本的に食べないと思います(食べているところを見たことがありませんし、聞いたこともありません)。
また、マリなどのアフリカでは日本に関する情報が少なく、日本食レストランもほとんどありません(あっても偽物の日本食レストランがほとんど)。
イギリスやフランスなどの先進国に滞在経験のあるアフリカ人なら、寿司や刺身も食べたことがあるかもしれませんが、アフリカにいるアフリカ人は、寿司や刺身という名前は聞いたことがあったとしても、見たり、食べたりしたことはほとんどないでしょう。まして、アフリカの内陸国では新鮮な魚が手に入りにくいので、そもそも魚料理自体が珍しいかもしれません。
僕の国の魚のほとんどが川魚か、他国からの輸入品みたいだよ
このような事情を知っていると、マリ人などのアフリカ人をいきなり寿司に誘うことは、しなくなると思います。
また、マリはイスラム教の国でもあるので、豚肉は基本的には食べれません(中東のドバイなどではイスラム教の国なのに、豚肉が売っていることもありますが、マリで豚肉が売られているところを見たことがありません)。
そのため、マリの方を日本料理にお誘いする場合は、吉野家の牛丼のようにご飯にスープをかける料理が無難かと思います(おそらく雑炊や辛くないカレーライスも食べてもらえるのではないかと思います)。
大事なことは相手を知ること~まとめ~
国際理解教育では外国人の方の文化や習慣を知ることがとても重要です。
今まで見てきたように、外国人の方への料理選びも、相手の文化や習慣を知るから始めるといいでしょう。たとえ知らない国でも、主食や名物料理が何かくらいは調べれば分かります。
もちろん、相手の好き嫌いもあるため、先ほどの吉野家の牛丼のようにヒットすることもあれば、外れることもあると思います。でも、その時のベストの料理を食べてもらうために、相手のことを思って、あれこれ調べるという行動がとても重要だと思います。
相手の立場になって考えるというのが、国際理解教育の根底にあるため、例えば授業で「赤道ギニアの人を家に招待する場合、どんな料理を提供すればいいか」というのを題材にして、生徒にどんな料理を提供するか発表してもらうというのも面白いかと思います。
皆さんもこの記事を読んで、臆することなく、相手に合う日本料理を外国人の方に紹介できるようになりましょう。
【参考】鈴木ケイタスクールとは?
鈴木ケイタスクールでは、主に以下の7つのテーマについて有益な情報発信を行っています。
国際・留学に関心がある方には「フランス語関連」や「国際関係などに関する分析」などが参考になると思うので、ぜひご覧いただければと思います。
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