皆さんは、詰め込み教育って間違いだったと思っていませんか?マスコミなどの影響で、詰め込み教育に対して、以下のような否定的な意見をお持ちの方も多いかと思います。
でも、本当に詰め込み教育って間違いだったのでしょうか。私は、マスコミなどの影響で知識を詰め込むこと自体が否定されている風潮があることを危惧しています。
今日の記事では、「以前の日本の教育内容は詰め込み教育に偏りすぎていたけど、実は、詰め込み教育自体は正しい」ということについて解説したいと思います。
この記事を読めば、詰め込むこと、つまり知識を頭に入れないと、何も物事を正しく理解することができなくなってしまうことがよく理解できると思います。
特に受験期のお子さんがいらっしゃる保護者の方や、社会人でこれから自己研鑽に励みたい方にオススメの記事ですので、ぜひ最後まで読んでみて下さい!
僕も学校でたくさんのことを覚えさせられるんだけど、詰め込み教育って正しいのかな?
人は知識がないと、何も考えられないんだ。その点が誤解されている風潮があるから、今日はその点について解説するね。
この記事で伝えたいこと
✅知識を頭に入れないと、何も正しく物事を理解することができないこと
✅「ゆとり教育」の登場により「知識詰め込み」の重要性が下がってしまったこと
✅「詰め込み教育」は現代風に言うと、「インプット」
詰め込み教育が正しい理由①:人は知識がないと、物事を正しく理解できないから
まず、今日の記事で最も伝えたいことを先に述べます。
「知識がないと、人間は何も物事を正しく理解することができない」ということです。
でも、僕たちは知識がなくても、思考はしているよね?それと、どう違うの?
まあまあ慌てないで。具体例を挙げて説明していくね。
具体例①「三権分立」
それでは、「三権分立」という概念を取り上げて説明します。まず、三権分立という定義は以下の通りです。
日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。
衆議院HP(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkai/kokkai_sankenbunritsu.htm)
「三権分立」をものすごくざっくり言うと、「3つの組織(国会、内閣、裁判所)がそれぞれ強くなり過ぎないように、お互い抑制し合って、バランスをとりましょうね」という原則です。社会人の方でも「あ~、昔そんなこと習ったね」と覚えている方も多いのではないでしょうか。
我々は、この「三権分立」という考え方を知識として知っているため、日本などの国の仕組み(統治機構)を理解することができます。
確かに「三権分立」という知識がないと、日本の仕組みを正しく理解できないね。
もし「三権分立」という考えを知らなければ、国会、内閣、裁判所という機関同士の関係も分からないですし、権力は、いずれか1つの権力に集中してしまうと良くないという歴史上の反省に基づいて、「三権分立」が生まれたことも理解することができません。
また、この物事の理解というメリットに加えて、「三権分立」のような基礎的な知識が定着していると、様々な場面で応用が利くというメリットを挙げることができます。
例えば、台湾は三権分立ではなく、五権分立(「立法」、「司法」、「行政」、「考試」、「監察」の五つ)が採用されています。
もし「三権分立」という基礎知識がなければ、この五権分立という制度自体の理解は進まず、また、「台湾には、日本にない「考試」、「監察」という分類があること」にすら気付くことができないでしょう。
具体例②「ロシアによるウクライナ侵攻」
次に2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻について考えてみましょう。
「ロシアによるウクライナ侵攻」は連日のように報道されているため、皆さんもご存知かと思いますが、「ロシアがなぜウクライナを侵攻したのか」について考えたことはありますでしょうか。
この問いに対する回答は、専門家の方々が連日のように解説をしているので、詳しく知りたい方はご自身で調べていただければと思いますが、ここでは「ロシアがなぜウクライナを侵攻したのか」という疑問の回答を調べるのに、知識が必要になることについて説明したいと思います。
この疑問の回答を得るために、必要な知識の1例は以下の通りです(全てを網羅していない点はご容赦ください)。
歴史:ウクライナとロシアのそれぞれの歴史や関係性など
地理:ウクライナとロシアは陸続き、ウクライナにはロシアが渇望する不凍港がある点など
政治学:プーチン大統領を筆頭とするロシアの政治体制、ロシアの意思決定プロセスなど
国際法:ロシアによるウクライナ侵攻は国際法上合法か。国際法上合法となる侵略はあるのか。ロシアは国連安全保障理事会(安保理)の常任理事国で、安保理の決議案に対して拒否権を有するなど
私はロシアの専門家ではないため、もっと複雑な事情があるのだと思いますが、私の稚拙な知識だけでも、ロシアによるウクライナ侵攻の背景をある程度、理解することができます。
もし知識がなかったら、「ウクライナの人が可哀そう!」などの感情的な反応しかできなくなってしまいます(誤解のないように言うと、私もウクライナの方々が可哀そうだという感情はあります)。
感情だけでは物事を正しく理解できません。だからこそ、我々は学校などで知識を詰め込んでいるのです。知識という虫眼鏡があるからこそ、見えてくる景色があるのです。
※ロシアの動きを深く知りたい方は、小泉悠さんの以下の本がオススメです。とっても難しそうな本に見えましたが、実は結構スラスラ読めてしまって、とても面白かったです。今回のロシアによるウクライナ侵攻の前に出版されたものですが、ロシアの考えを知る上では必読書かと思います。
具体例③「孫子の兵法」
次に、ビジネスパーソンにも人気のある「孫子の兵法」を例にとって、考えてみましょう。
「孫子の兵法」とは、私が理解している範囲で簡単に言うと、「負け戦はしない。相手をよく知る。攻めるときは一点集中。相手に自分の戦力を大きく見せる。相手が講和を求めてきたら、そこで講和を結ぶ」など大変多岐にわたる戦術論です。
現代でもビジネスパーソンにも好んで読まれている良著です。さらに詳しく知りたい方は、以下から購入することができます。
さて、この「孫子の兵法」ですが、知識として知っていれば、かなり実社会でも活用できます。実際、私は孫子の兵法の「相手に自分の戦力を大きく見せる」などを活用して、希望していた部署に異動することができました(詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ)。
この異動は、私が「孫子の兵法」を少なからず理解していて、そのときの状況を「孫子の兵法」の諸原則に当てはめて、行動したからこそ生まれた結果なのです。この「当てはまる」という行為がすごく大事です。
仮に「孫子の兵法」を知らなければ、この「当てはめる」ということすらできない、つまり何の結果も生まれなかったということになります(先ほどの例では、人事異動の実現)。私が「孫子の兵法」を知っていたからこそ、人事異動は実現できたのです。
私に「孫子の兵法」という知識があったため、その時の置かれた状況(例えば、人事部がなぜ私を異動させないのか、異動させるために必要なことは何か、異動させるためにどう行動すべきかなど)を正しく理解し、行動することができた事例と言えます。
「孫子の兵法」を学校で習うことはないかもしれませんが、これはいわば、「社会人の詰め込み教育」の1例と言えると思います。
孫子の兵法などの有益な知識は詰め込まないといけないよね!
詰め込み教育が正しい理由②:勉強する体力が身につく
次に、「詰め込み教育」によって、勉強する体力がつくこともメリットとして忘れてはいけません。
皆さんは今まで受験勉強などでたくさん勉強をしてきたかと思います。私は比較的勉強が好きな方でしたが、中学生の時に、当時通っていた塾の夏合宿で朝から晩まで勉強をさせられたことがありました。
本当に勉強漬けという感じで、寝る、食べる以外は全て勉強でした。さすがに合宿が終わった日の夜は、毎日頭ふらふらになっていましたね。でも、長時間(確か14時間くらい)勉強できたことが何より自信になりました。
本当、毎日自分の限界との闘いだったと言っても過言ではないね。
この合宿に限らず、受験勉強で勉強する体力が身についたのも、今考えると、大きな収穫だったと思います。例えば、私は20代後半のときに、働きながら国家公務員試験の勉強をしていましたが、仕事をしたあとに、歯を食いしばって勉強をしていました(公務員試験の話はこちらを参考にしてください)。
受験勉強で培った「疲れていても、自分は勉強できる!」という自信と体力があったからこそ、難関の公務員試験に合格したのではないかと、考えています。
「ゆとり教育」の登場により「知識詰め込み」の重要性が下がってしまった
では、次に「詰め込み教育」の重要性が下がってしまった原因について考えていきたいと思います。それは、やはり「ゆとり教育」の登場です。
「ゆとり教育」の定義を確認
まず、「ゆとり教育」の定義を確認しておきましょう。
無理のない学習環境で子供たちがみずから学び考える力の育成を目指した教育
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ゆとり教育の実施により、完全学校週5日制や授業内容の削減や簡素化(例:円周率)が行われ、これが生徒の基礎学力の低下を招いたとの批判を受けています。
「ゆとり教育」でも、知識の詰め込みは絶対に必要
私は、この「ゆとり教育」の考え方自体は問題ないと思いますが、この「ゆとり教育」により、「詰め込み教育は悪だ」、「詰め込みは良くない」、「もっと生徒に自由に考えさせるべきだ」という風潮が広まったことは大きな問題だったと考えています。
確かに「詰め込み教育」により過度な受験戦争や生徒のストレスなどが問題になり、このような弊害があることは認識しています。しかし、だからといって、知識を詰め込まないことを正当化することはできません。
先ほどの「三権分立」や「ロシアによるウクライナ侵攻」などの例でも述べたように、知識があるからこそ、物事を正しく理解することができます。知識がないと、物事を感情的にしか理解できなくなってしまいます(先ほどのウクライナ可哀そうという感情です)。
「ゆとり教育」の最大の弊害は、「知識の詰め込みが間違いだという風潮が広まったこと」にあります。
因みに、皆さんが一度は「こんなの役に立たないでしょ!」と思ったことがある因数分解。
実は、皆さんは気付かない内に、大人になっても結構、因数分解しているということにお気付きでしょうか。 これも「詰め込み教育」で勉強したからですね。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
詰め込み教育は実は正しい?知識を詰め込まないと、物事を正しく理解できない!~まとめ~
いかがでしたか?詰め込み教育自体は実は正しかったということがご理解いただけたでしょうか。
今日のおさらいをしておきましょう。
本日のおさらい
✅知識を頭に入れないと、何も正しく物事を理解することができないこと
→例:「三権分立」、「ロシアによるウクライナ侵攻」、「孫子の兵法」
✅「ゆとり教育」の最大の弊害は、知識の詰め込みが間違いだという風潮が広まったこと
まだ、「知識の詰め込み」っていう言葉に悪いイメージを感じてしまうよ
ケイタ君みたいな考えをお持ちの方もまだいるかと思います。「知識の詰め込み」って現代風に言えば、「知識のインプット」です。
ここ最近、知識の「インプット」と「アウトプット」が重要であるというふうに言われることが増えてきました。「インプット」と聞くと、悪い感じがしないのではないのでしょうか。
ぜひ、皆さんも「知識の詰め込み」をどんどんして、自己研鑽に励んでいきましょう!!
※今日の記事で取り上げた本のリンクを以下にまとめておきます。みんなで「知識のインプット」を楽しんで、物事を正しく理解できるようになりましょう!
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